君のための嘘
品出しのアルバイトをしながら、3日後の箱根旅行をつい考えてしまう。


ちょうどクリスマス・イブ。


明後日入るアルバイト代で、ラルフに何かプレゼントを買おうかな。


何がいいんだろう……。


アルバイト代なんてたかが知れている。


高い物は買えないな……。


プレゼントは自分のお金で買いたい。


そう思うと、楽しい気分になってきた夏帆だった。


******


「箱根のサイトなんて見てどうしたんだ?」


机に片方の肘を付き、パソコンを見ているラルフに近づいた侑弥が不思議そうだ。


「夏帆ちゃんとイブに行くんだよ。今、予約を取ったところだ」


パソコンから目を外し、イスの背もたれに背を預ける。


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