君のための嘘
「お前っ、なんでそんなところへわざわざ行くんだよ!」


「夏帆ちゃんに楽しいことをしてあげたいんだ」


「どうしたんだよ? そんなにあの子に気を使ってどうするんだよ」


「侑弥! あの子は十分に気を使われるべきなんだよ。そんな発言はもう2度と聞きたくない」


ラルフのブラウンの瞳に苛立ちが見える。


「っ! わかったよ! ただし、車で行くなよ? 電車で行けよ」


侑弥は両手を上げて降参のポーズを取った。


「ああ、万が一の事があるといけないから、もちろん電車で行く」


「気を付けて行って来いよ」


ラルフの肩に手を軽く置いて侑弥は出て行った。


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