君のための嘘
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「明日は新宿からロマンスカーに乗って行こうと思うんだ。夏帆ちゃんは車が良かった?」


「ロマンスカーって車じゃないの?」


「そう言う名前の電車だよ。箱根まで行けるんだ」


夏帆の可愛らしい疑問にラルフは笑った。


「そうなんだ、面白い名前だね? 一泊だから荷物は少ないし、電車にも乗りたいし。車でなくても全然かまわないよ」


「僕も楽しみだ。向こうは雪が降っているみたいだから寒いよ。暖かくして行こう」


夏帆は雪と聞いて喜んだ。


「楽しみ、早く明日にならないかな」


明日に思いをはせている夏帆を見て、ラルフは安堵していた。


先ほどの事を持ち出す気はないようだ。


だが、近いうちに話さなければならない時が来るだろう……。


その時、君は何を思うのか……。


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