君のための嘘
熱いお茶を一口飲んで、夏帆はにっこりと対面に座っているラルフを見た。


「すごいお部屋だね? 他の部屋も見てきていい?」


早く他の所を見たくてうずうずしていると言った感じだ。


「もちろん」


ラルフの了解を取った夏帆は座椅子から立ち上がると、8畳ほどの和室を出て行った。


夏帆は旅館が初めてだった。


何もかもが物珍しい。


広い部屋だった。


ドアを開けると、ブラウンで統一したパウダールーム。


半分がすりガラスのドアを開けると、ユニットバスがあった。


部屋にもちゃんとバスタブがあるんだね。


そんな事を思いながら別のドアのノブに手をかけた。


開けた瞬間、飛び込んできた湯気のたったものに夏帆は驚いて絶句する。


うそ……どうしてお部屋にお風呂があるの?


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