君のための嘘
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「出来た~」


目の前の60センチほどの雪だるまを満足そうに見て夏帆はバンザイをした。


「上手に作れたね」


まるで小学生の子供に言う言葉だなと思いながらラルフは言った。


「もう完璧っ!」


木の枝や実を使って作った雪だるまは何とも可愛らしい。


「夏帆ちゃん、雪だるまの隣に立って、写真を撮ってあげるよ」


「写真?」


「これで撮れるからね」


ラルフはポケットからスマートフォンを取り出し電源を入れた。


誰にも邪魔をされたくないラルフは、朝から電源を切っていた。


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