君のための嘘
雪を踏むたびにざくざくっと音をたてる。


辺りは雪がしんしんと降るだけで、静かだった。


「きゃっ!」


隣を歩いていた夏帆が何かに足をとられて後ろに倒れかけた。


そこをラルフが咄嗟に支える。


「気を付けて」


「あ、ありがとう」


身体を起こされるとラルフの顔があまりにも至近距離で、夏帆はドキッとした。


夏帆を支えるラルフの腕はそのまま。


「ラ……ルフ……?」


ラルフに真剣な眼差しで見つめられて、夏帆の心臓はますます暴れ、身体が震える。


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