君のための嘘
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苛立った気持ちを夏帆に悟られたくなく、ラルフは旅館の敷地内を歩き部屋に戻って来た。


部屋を出てから20分ほど経ってしまった。


しかし、そのおかげで気持ちはかなり落ち着いてきている。


部屋に入ると、食事をした部屋に夏帆の姿はない。


隣の部屋にはバーが設置してあり、そこでゆっくりお酒を飲むことも出来る贅沢な部屋だ。


しかしそこの部屋にも夏帆の姿はない。


後は考えられるのは寝室か露天風呂。


もしかして疲れて眠ってしまったのか?


ラルフは寝室のドアを小さくノックして開けた。


クイーンサイズのベッドに夏帆はいなかった。


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