君のための嘘
肩まで湯船に浸かっていればプールと同じだ。


一度大きく深呼吸したラルフは、ドアを開けて顔を覗かせた。


「ラルフ、大丈夫? 何かあったの?」


夏帆が心配そうな表情を浮かべている。


「いや、大丈夫だよ。露天風呂は気持ちいいかい?」


ドアに立ったままでラルフは聞く。


「とっても気持ちいいよ。ねえ? ラルフ、雪見酒やってみたい」


「ああ、そうだったね。今用意してくるよ」


「ありがと」


夏帆はにっこり微笑むと、ラルフはすぐに視線を逸らし、バーカウンターが設置されている部屋に向かった。


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