君のための嘘
「夏帆ちゃん? 顔が赤いけれど大丈夫? のぼせちゃった?」


夏帆はラルフが戻って来る前に再び顔だけ出す形で湯船に浸かっていた。


「だ、大丈夫っ」


実際、身体が熱いのはわかっていた。


それがのぼせなのか、ラルフの影響なのか、夏帆には分からない。


「僕はあまり熱いのは苦手なんだ。ちょっと失礼するよ」


入ったばかりのラルフだが、腹部まで浸かるように一段高い所に腰をかけた。


ふと横を向いてしまった夏帆はラルフを見て目をまん丸くさせる。


ほとんど上半身が丸見えで、着やせするのか肩幅が広く引き締まった上半身に目を奪われる。


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