君のための嘘
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夏帆が目を覚ますと、隣にラルフはいなかった。


「ラルフ……?」


ラルフの眠っていた場所に手を差し入れると、シーツが冷たくなっている。


大分前にベッドから抜け出したみたいだ。


夏帆はシーツを巻いて起き上がり脚を動かすと、体中がきしむ様に痛いことに気づいた。


昨晩の事を思い出し、振り払おうと頭を大きく横に振る。


思い出すと乳房が張ってきて、シーツに擦れる頂が痛みを覚える。


夏帆はユニットバスに向かった。


身体を洗い終わり、バスタオルを巻いてパウダールームに入り大きな鏡に映る自分を見てギョッとなる。


洗っている時には気づかなかったが、首から胸元、背中にまでラルフの唇で付けた跡が赤くなっていた。


再び、昨晩の事を思い出して夏帆の顔は赤くなった。


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