君のための嘘
タクシーでラルフのマンションに向かう中、今日がクリスマスだという事を思い出した。


街ではクリスマスソングが流れ、店頭ではサンタクロースに扮した店員がケーキを売っている。


昨日の出来事が夢だったみたいに思える。


けれど、夢じゃない。


唯一、夢じゃないと思えるのはポケットに入っている寄木細工の小さな箱があるから。


ラルフの様子がおかしくなったのはきっと仕事のせいだ。


トラブルが解決すればいつものラルフに戻るはず。


夏帆は自分とセックスしたせいで、ラルフが変わってしまったと思いたくなかった。


< 290 / 521 >

この作品をシェア

pagetop