君のための嘘
「その件でこれから出張に行かなければならなくなったんだ。戻りは大晦日になると思う。少し長いけれどひとりで大丈夫かな?」


夏帆は驚いた。


6日間も出張でいない。


けれど、仕事だし自分はどうこう口出しできる立場ではない。


「大丈夫……このマンションは管理が行き届いているからひとりでも怖くないし……」


夏帆はラルフに迷惑をかけまいと強がって言った。


「何かあったら、コンシェルジェに言うといい」


「……はい」


返事を返すものの、今にも泣きそうな夏帆だった。


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