君のための嘘
食欲もなく、この6日間で体重が2キロ近く落ちてしまっていた。


キレイに痩せたと言うより、やつれた痩せ方だ。


携帯電話を夏帆は持っていないが、ラルフの携帯の番号は以前教えてもらっている。


マンションには電話機がなかった。


ラルフの声が聴きたくて、何度公衆電話からかけようとしただろうか。


結局はあと数日経てば戻って来るのだからと、夏帆は行動に移せなかった。


******


スーパーは新年に向けての買い物客でごった返すようで、品物が次々無くなっていく。


忙しければラルフを考えなくて済む。


その想いが夏帆を自虐的行為に導いていた。



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