君のための嘘
ラルフの自室のドアは15センチほど開いていた。


夏帆はそのドアにおもむろに近づいた。


「――ルフ、いつまで夏帆さんに言わないつもりなんだ? 夏帆さんの存在をおばあ様に知られるのも時間の問題だ。籍を入れた事を知られれば、おばあ様は夏帆さんに接触するかもしれない」


その声は聞き覚えのある美由紀さんの夫、侑弥さんの声だった。


おばあ様って……ラルフのおばあ様?


「……予定は変更だ。夏帆ちゃんは……ロスに帰す」


ラルフの声だった。


ロスに帰すって……? ラルフは何を言っているの? 予定は変更って……?






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