君のための嘘
「……それが一番いいのかもしれないな。夏帆さんとお前は惹かれすぎている。すべて……終わった後に知らせるのがいい」


ふたりは夏帆にわからない事ばかり話している。


しかし、ふたりの会話に出たのは自分の事。


夏帆はドアを開けていた。


ドアが開いた瞬間、ベッドに腰を掛けていたラルフ、その前に立っていた侑弥が驚いたように見た。


「夏帆ちゃん!」
「夏帆さん!」


「何を言っているの? ラルフ、私をロスに帰すってなに? おばあ様が私に接触って!?」


夏帆は部屋の中に入り、ふたりに近づいた。


「夏帆ちゃん……」


夏帆は目の前がくらくらするのもかまわずに、床に膝を付きラルフを見た。


< 299 / 521 >

この作品をシェア

pagetop