君のための嘘
「ラルフ、何を隠しているのっ!?」


「夏帆ちゃん、その顔はどうしたんだ!」


ラルフは顔色が悪く、疲れた顔の夏帆に驚いた。


「お願い! 教えてよ!」


夏帆はラルフの右手を両手で握った。


ラルフはその荒れた手にも驚く。


「いったい君は……」


ラルフは眉を顰め、今にも倒れそうな夏帆を抱きかかえるようにしてベッドに座らせた。


「侑弥、ホットココアを頼む」


「あ、……ああ」


侑弥が部屋を出て行った。


「僕のいない間、何をしていたんだい? 今にも倒れそうじゃないか」


「話をすり替えないで。今の話を私が納得できるように話して」


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