君のための嘘
ラルフが霧生 貴仁? そんな……嘘……。


夏帆はのろのろと立ち上がり、ラルフから数歩下がった。


分からない……。


朦朧とする頭では到底理解の出来ない話。


「夏帆ちゃん、座って。今にも倒れそうだ」


ラルフは立ち上がり、夏帆に近づいた。


座らせようと夏帆の腕を掴むと、乱暴に振り切られラルフの手が離れる。


「夏帆ちゃん……」


「大丈夫だから。ちゃんと分かるように話して!」


「それには君が座るのが先だ。座ったら話すよ」


ラルフはもう一度夏帆の腕を掴むと、強引にベッドに座らせた。



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