君のための嘘
額に触れると熱い。


「熱がある。侑弥、ドクターに電話してくれ」


「わかった」


侑弥はポケットから携帯電話を取り出し、霧生家の主治医に電話をかけた。


布団をかけてやりながら、話をする前に寝かせるべきだったと後悔した。


「若先生が来る」


侑弥は携帯電話をしまいながら、ラルフに言った。


「タイミングが悪かったな……」


顔を赤くさせ眠っている夏帆を見て侑弥が言う。


「ああ、まさか聞かれるとは思わなかったよ。もう少し先に延ばすつもりだった。夏帆ちゃんがあまりショックを受けない様に考えていたのに……」


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