君のための嘘
「可哀想に……お前がいない間、身体を酷使していたとしか思えないよ。痩せたみたいだしな」


「年末の仕事で忙しかったんだろう。手が荒れていた」


布団から夏帆の手をそっと出すと、医師が来るまでラルフは握っていた。





霧生家の若い主治医はこんこんと眠る夏帆を診察した。


侑弥はリビングで待っていたが、ラルフは腕を組み壁に寄りかかり、離れた所で夏帆の診察を見ていた。


医師は夏帆が過労と診断した。


脱水症状も診られると。



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