君のための嘘
「僕が君を愛しているなんて夢、見ていないよね?」


ラルフはフッと思い出したように口元を緩ませた。


「でもっ、箱根での事は?」


「男って好きでもない女とセックス出来るんだよ? バージンは初めてだったから興味も湧い――」


「やめてっ!そんなの聞きたくないっ!」


夏帆は叫んだ。


これ以上聞いたら、正気ではいられなくなりそうだ。


目の前にいる人が本当に今まで一緒に過ごしたラルフなのか?


彼は双子で、別人が言っているのではないか。


心の中で、これは夢だと思いたかった。



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