君のための嘘
「最初の約束通り2年経ったら離婚してあげるよ。もしかしたら、それより早いかもしれない。その時は慰謝料もたっぷりつけてあげる。いや、ロスに帰っても毎月口座に金は振り込むよ。ロスに戻ったら銀行口座を教えてくれ」


「そんなお金、いらないっ!」


夏帆は乱暴に掛布団を剥いで、立ち上がった。


「夏帆ちゃん!?」


突然夏帆が立ち上がり、ラルフの冷たい表情を貼りつけた仮面が崩れそうになった。


しかし、夏帆はラルフに背を向け振り絞るように言った。


「お金なんていらない。けれど、ロスまでの飛行機を予約して下さい。それまで、部屋に居ます」


夏帆はふらつく足でドアに向かい、ノブに手をかけた。


今の話は嘘だと言って欲しい……。


だが、ラルフは何も言ってくれずに夏帆を部屋から見送った。


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