君のための嘘
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夏帆の部屋のドアの前に立つラルフは胸が痛かった。


傷つけたくない存在の君なのに……。


すまない。こんなに傷つけ、泣かせて……。


夏帆ちゃんの存在をおばあ様に見つからないうちにロスに帰さなければ。


ラルフは自室に戻ると、航空会社に電話をかけた。


正月休みで混んでいるだろう。


霧生ホールディングスの名を使えば、おばあ様に見つかる危険がある。


ラルフは名前を使わずにロスまでのチケットを予約した。


エコノミークラスで夏帆を帰すわけにはいかない。


最短でチケットが取れたのは2日の昼。


電話を切ったラルフはやりきれない思いで携帯電話をベッドに投げた。

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