君のための嘘
翌日は元旦。


自室から出たラルフはまっすぐ夏帆の部屋に行く。


ドアの前に置いた鍋焼きは手を付けられていなかった。


ラルフは舌打ちした。


何も食べないつもりなのか?また倒れるぞ。


ドアを強くノックした。


夏帆は寝ているかもしれないが、かまわなかった。


具合が悪くなっているのか、大丈夫なのか、確かめたかった。


「夏帆ちゃん?開けるんだ!夏帆ちゃん!?」


ドアが破られてしまうのではないかと思われるほどの物音に、ベッドに座っていた夏帆は驚き顔を上げた。


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