君のための嘘
「お願いだ! 開けてくれ! 君を傷つけたが、身体を壊して欲しいわけじゃない。ちゃんと食べて欲しいんだ。出て来てくれ!」


ラルフの心配そうな声は本当だろう。


身体を壊したら、ロスへ向かう飛行機に乗れない。


夏帆は皮肉づけて考えてしまう。


「夏帆ちゃん、これから出かける用がある。安心して出て来て食事をしてくれないか。飛行機の予約は明日の昼だ。戻るのは夜になる」


「……わかりました」


そう言うのが精一杯だった。


口を開いたら……ラルフを見たら、また泣いてしまう。



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