君のための嘘

「ただいま。おばあ様は応接室に？」


「はい。お待ちの方は別室にいらっしゃいます」


「では、僕も挨拶して来よう」


ラルフは軽く言うと、応接室を目指し廊下を進んだ。


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ラルフの姿を見た祖母の機嫌はすこぶる良かった。


ラルフを交え、数人の訪問者の挨拶を済ませる。


そして飯野物産の会長と振袖を着た若い女性が応接室を訪れた。


「まあ、飯野会長。こちらからご挨拶にお伺いしないといけませんのに、わざわざお越しくださり恐縮でございます」


祖母は飯野会長の隣に座っている若い女性を見て、皺のある顔を緩ませた。