君のための嘘
男性は誰かに合図するように手を上げた。


すると、車から2人との男たちが素早い動作で出てくる。


夏帆は身の危険を感じ、スーツケースを離し走ろうとしたが手首をひとりの男に捕まれ、強引に引き寄せられる。


ガバッと口にハンカチのような布をあてられ、そのきつい匂いを嗅いだ瞬間、夏帆は意識を手放した。


******


ラルフはマンションの地下駐車場からエレベーターに乗り込んだ。


地下駐車場に停められている住人の車はほとんどない。


新年の挨拶や故郷に帰省しているのだろう。



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