君のための嘘
ラルフの脚は自然と速くなる。


夏帆と一緒に居られるのはあと1日もない。


あと1日と言っても今日も彼女は姿を見せてくれないだろう。


これでいい。


僕の嘘を受け入れ、僕を忘れてくれればそれでいいんだ。







夏帆の部屋のドアは開いていた。


「夏帆ちゃん?」


ラルフは嫌な予感がした。


部屋を覗くと、夏帆の姿が見えない。


咄嗟に辺りを見廻すと、きれいにベッドメーキングされている。


ラルフはクローゼットを乱暴に開けた。


次の瞬間、あ然となる。


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