君のための嘘
この人が霧生の大奥様?


……ラルフのおばあ様?


「危害を与えるつもりはありません。貴方が貴仁の前から去ってくれればいいのです。慰謝料も用意してあります」


「……」


そんな事を言う為に私を拉致したの?


ラルフの元から去ろうとしていたのに……。


ラルフの将来はこの女性の掌にあるようで、急に気の毒になった。


相続するために利用したとラルフが言っていたのを思い出した。


事情はよく分からないけれど、すべてが済むまで離婚出来ないはず……。


ラルフの力になってあげたいと、こんな目にあってまでも思ってしまう。


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