君のための嘘
「愛している? あんな取柄や器量もない小娘にですか!? 貴仁さん! どうかしています!」


祖母は心底驚いたようで声を震わせている。


「いくらおばあ様でも彼女を侮辱するのは許しませんよ」


ラルフの声はいつになく、怒りを秘めている。


「黙って籍を入れたのは許せません! 貴方は戸籍を汚したのですよ?」


「おばあ様!」


「今すぐ離婚しなさい! 離縁するのです!」


「それは絶対にしません」


ラルフは冷静になろうと努めた。大事な祖母も傷つけたくない。


「ではわたくしが手続します」


祖母は皺のある顔を向け、きっぱり言う。


「不受理届を出していますから、申請しても却下ですよ」





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