君のための嘘

ロスへ帰りたい

夏帆は目を閉じながら、頭を左右に振り苦しそうだった。


悪夢を見ているようだ。


「夏帆ちゃん! 夏帆ちゃん!」


ラルフは肩を揺すり、目を覚まそうとした。


「いやっ! どうしてっ!」


目を瞑りながら悲痛な叫びをあげている。


「夏帆ちゃん! 夢だよ! 目を覚ますんだ」


更に強く揺すり起こそうとすると、夏帆の瞼が開きぼんやりとした瞳を見せる。


「夏帆ちゃん、悪い夢を見たんだ。もう大丈夫」


「……ここは……」


瞳がぐるりと部屋の中を見廻している。


「マンションだ……」


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