君のための嘘
夏帆はぼんやりとラルフが手にするフレームを見ていた。


「夏帆さん?」


ラルフが腰を落として、夏帆を覗き込んだ。


「えっ? は、はいっ!」


突然、きれいな顔が目に飛び込んできて、夏帆はビクッと身体が跳ねさせてしまう。


そんな夏帆を見て、ラルフは口元をグッと緩ませた。


今にも吹き出しそうな表情の彼だ。


「もしかして、眠いですか?」


「い、いいえ!そんなことないです!」


ラルフさんが覗き込んだおかげで少し眠気は覚めた。


「どのフレームが好みですか?」


ラルフの色素の薄いブラウンの瞳に見つめられた夏帆は急いで視線を逸らす。



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