君のための嘘
コンシェルジェの男性は夏帆を見て驚いた顔になった。


と言うのも、「ロスに帰る」と言った男性だったから。


優秀なコンシェルジェの男性は、すぐに驚いた顔を隠し夏帆ににこやかに笑う。


「ここに行きたいのですが、タクシーを呼んでもらえませんか?」


夏帆は手帳を見せた。


「霧生ホールディングス社ですか、すぐ近くですよ」


それには夏帆は驚いた。


「すぐ……近くですか?」


「ええ、駅に向かって左手にある、ひときわ大きな高いビルです」


スーパーとは反対側で、夏帆は見覚えが無かった。


「駅の方向ですね 行ってみます」


「はい お気をつけて行ってらっしゃいませ」


男性は深く頭を下げると夏帆を送り出した。


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