君のための嘘
言われた通り、夏帆は駅に向かって歩き出した。


左……左……。


10分ほど歩くと、巨大な近代的なビルが目に飛び込んできた。


「あそこが……霧生ホールディングス社……?」


さすがに日本有数のトップ企業……。


見上げると首が痛くなるくらい。


このビルにラルフがいる。


夏帆は口元を引き締めると、中へ入っていくビジネスマンの後に付いて行く。


ラルフはどこにいるんだろう……。


ビルの中へ入ると、広いフロアーが広がり、受付が見えた。


夏帆は受付に近づいた。


「いらっしゃいませ 御用件をお伺いいたします」


夏帆に向かって、にこやかにピンクグレーの制服を着た受付嬢が言う。


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