君のための嘘
ソファに戻り、座った途端に電話だ。


ったく、電話線を切るぞ!


鳴らしているわけにもいかず、侑弥は電話に出ると同じ言葉を告げた。


そして秘書室に電話をかけ、午前中は電話を回さないように告げる。


「すまない、侑弥」


受話器を置いた侑弥に声がかかる。


振り返ると、ラルフがソファに身体を起こして侑弥を見ていた。


「おい、まだ横になっていろよ」


「大丈夫だ 毎回、みっともない所を見せてすまない」


そう言うラルフの顔色はまだ優れず、唇の色は紫に近い色をしていた。


< 404 / 521 >

この作品をシェア

pagetop