君のための嘘
「……侑弥、明日のロス行きの航空券を予約してくれないか」


「ロス行きって、夏帆さんのか?」


侑弥はキョトンとなった。


霧生家の祖母に夏帆の正体がばれ、夏帆のロスへ帰す計画は無くなったものだと思っていたからだ。


「もちろんそうだよ」


ラルフはふぅと息を吐きながらソファから立ち上がると、執務机へと向かう。


「ラルフ、おばあ様に知らせなくていいのか?」


「ああ、祖母が入ればややこしくなる一方だからね 夏帆ちゃんはもう十分すぎるくらい傷ついたんだ もう自由にしてやらなければ……」


「お前はどうなんだよ?お前だって傷ついているんじゃないのか?」


ラルフの夏帆への想いを知っている侑弥は問う。


「僕は……いくら傷ついても大丈夫だ」


「そんなわけないだろう!?そんなこと言わないでくれ、どうしてもっと貪欲に幸せを求めない?夏帆さんに側に居て欲しいと言えない?」


侑弥はラルフに怒鳴っていた。



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