君のための嘘
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「……もう誤解を解く気力もないよ このまま彼女はロスに帰った方がいいんだ 今日はアルバイトだったんだが、おばあ様がスーパーに電話をして辞めさせるよう言ったらしい それで怒って先ほどここへ来たんだ 僕が辞めさせたと思っているよ」


ラルフは感情のない微笑みを浮かべている。


「……」


誤解を解く気力もない……そんなのは嘘だ。


夏帆さんを愛しているのに、誤解されたままでいるのは身を切られるほど辛いだろう。


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夏帆は明日の為の荷物の整理をしていた。


荷物の整理と言ってもたいしてないのだが。


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