君のための嘘
「……なんでしょう?」


私は何を誤解していると言うの?


嘘を吐きっぱなしなのはラルフなのに。


「……アルバイト先へ連絡したのはラルフじゃない 霧生のおばあ様だ」


「でも、店長は男性だったって」


「おそらく秘書の畑中だよ」


「あ……」


夏帆はその人の存在を忘れていた。


ラルフも違うって……言っていたのに……。


「それからね?これから話すことは夏帆さんにとってものすごくショックな事だと思う だけど、俺はもう黙っていられない」


真剣な眼差しで見つめる侑弥に夏帆は困惑した。


「私にとってすごくショックな事……?」


聞くのがとても怖かった。


侑弥さんは真剣そのもので、瞳は怒りを秘めているように見える。


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