君のための嘘
「……ラルフは心臓病なんだ それもかなり重い」


侑弥の言葉は夏帆に爆弾を落としたも同然だった。


「心臓病?嘘……普通に生活しているのに……」


夏帆は目の前が一瞬、真っ暗になった。


「嘘……侑弥さん、そんな嘘、たちが悪いです」


「嘘じゃないよ 至って真剣だ ラルフは2年ほど前から心臓病を患い、……余命を宣告されている」


夏帆の顔色がサーッと青ざめていくのが侑弥にわかった。


両腕で自分の身体を抱きしめるようにして立つ夏帆。


自分の身体を掴む手は小刻みに震えているようだ。


「よ、余命って……」


「あと2年もつかどうか……」


2年!? 私との契約!……あの時、ラルフはボランティアで外国へ行くと言った。


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