君のための嘘
「最近は以前よりも痛みが頻繁にやって来ているようだから、悪化しているかもしれない クリスマスの翌日から大晦日まで入院していたんだ 相当いかれてきている」


「いや――っ!やめて!ラルフが死ぬなんて、そんなの嘘っ!酷い事言わないでよ!」


夏帆は取り乱し、叫んでいた。


クリスマスの次の日からって、出張じゃなかった……入院していたなんて!


「お願い、嘘だって言って!侑弥さんっ!」


「俺も何度そう思った事か……でも、本当なんだ」


「手術は?手術すれば――」


「成功率がかなり低い」


「それでもっ!」


「夏帆さん、倒れないうちに座った方がいい 君も病み上がりなんだから」


侑弥は今にも倒れそうな夏帆をベンチに座らせた。


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