君のための嘘
しばらく暗いリビングルームでうろうろしていた夏帆は心を決めてラルフの部屋に向かった。


ノックをすると、ラルフはすぐに出て来た。


「……話があるの……」


「リビングに行こうか?」


「ううん、ここでいい……」


ラルフは何も言わずに、ドアから少しずれ、夏帆を部屋の中へ入れる。


「何かあったんだね?そんなに目を腫らして……」


私、凄く不細工な顔をしているに違いない。


一年分の涙を流した気がする。


「ラルフ……」


夏帆は壊れ物を扱うかのようにラルフに抱きついた。


まだ言葉に出来ない。


行動が先に出てしまった。



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