君のための嘘
私がひとりで空回りしていたの?あの時、愛されていると……思っていた。


こんなに酷い事を言われても、私はこの人が好き。


「でも……私は好き、愛しているの」


「それは初めての男だからだよ」


「違う!そんなんじゃないっ!」


子供のように身体の脇で握り拳をぎゅっを作る。


「そんなに僕の事が好きなの?」


フッと笑みを浮かべたラルフに夏帆は頷く。


「じゃあ、僕の願い事を聞いてくれる?」


「願い事……?」


「そう、僕を好きなら……愛しているなら聞いてくれるよね?」


ラルフはにっこり笑って夏帆のギュッと握られた指を解き、両手で包んだ。


「聞くよ?ラルフの願い事なら何でも聞く」


まるで催眠術にかかったみたいに答えていた。


「ありがとう 明日、必ずロスに帰って欲しい」


< 425 / 521 >

この作品をシェア

pagetop