君のための嘘
「はいっ」


夏帆はすりガラスの戸棚を開いた。


そこにはきれいに並べられた多種多様な大きさの真っ白なお皿。


お店のディスプレイのよう……。


シンプルな物が好きらしいと分かった。


彼は几帳面なの?


それとも恋人が……?


「どうかしましたか?」


いつの間にかラルフが後ろにいて、夏帆の横から手が伸びてお皿を取り出した。


「……すみません 私が頼まれたのに……」


「いや、この棚は夏帆さんには高いようですね」


ラルフの微笑みに、夏帆の胸がトクンと鳴った。


< 44 / 521 >

この作品をシェア

pagetop