君のための嘘
カッコよすぎるからドキドキしちゃうんだよね。


こんな美形さんに微笑まれたことなんてなかったから。


鼓動を抑えようと胸に手を置いて俯いていた。


そんな彼女をラルフが見つめていた事を、夏帆には全く分からなかった。


夏帆が顔を上げた時には、彼はお皿を台の上に並べていた。


「あとは何をすればいいですか?何でも言ってください」


居候の身、掃除でも洗濯でもなんでもやろうと考えていた。


でも考えられたのはそこまでで、霧生家の事を考えると途方に暮れる。


「では、そこの料理を皿に移してくれますか?」


「はいっ」


言われた通り、アイランドキッチンの中央の台に置かれた紙袋から料理を取り出し、皿に盛る作業に集中する。



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