君のための嘘
ガラスのテーブルの上に見るからにお腹が鳴りそうなほど美味しそうなお料理が並べられ、小さなピンクのバラと小花のフラワーアレンジメント、2つの炎が揺らめくロウソクが更にお料理を美味しそうに見せている。


席に座ると、到底、私たちには相応しくない雰囲気にクスッと笑ってしまった。


まさか、いつもこんな雰囲気の中で食事をしているのかな……?


それはそれで彼に似合い過ぎる……。


「何が可笑しいのかな?」


ラルフは突然笑った夏帆に戸惑いの表情を見せて聞いてくる。


「ぁ……えーっと……恋人同士みたいな雰囲気だから……ラルフさんはロマンチストなんですね」


きれいにセッティングされたテーブルには時々、ホームパティ―で飾られていたけれど、今まで生きてきた中で、男性と二人っきりで食事も初めてだ。


ラルフはフッと笑って、手元の白ワインの入ったグラスを持った。


< 46 / 521 >

この作品をシェア

pagetop