君のための嘘
「っ……」


ラルフの喉の奥から絞り出すような声。


「ラルフ……」


「ん……あぁ……気持ち良すぎた……」


余韻を楽しむ余裕はなかった。


胸の痛みに襲われ、呼吸が苦しくなる。


「ラル――!?」


「っ……大丈夫だ」


夏帆から離れると、薬の瓶を手にしてバスルームに向かった。


「ラルフっ!」


夏帆は追いかけた。


バスルームのドアが鼻先で閉められる。


「ラルフっ!開けてよっ!」


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