君のための嘘
「良かった 一度、院長先生にご挨拶したいと思っていたの」


夏帆は幼い頃、世話になった院長の顔を思い出し微笑んだ。


辛い時期を過ごした場所でもあったが、優しい院長先生の事は忘れらない。


あの頃、60歳位だったから、今は70歳を超えた年齢。


まだご健在だといい……。


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翌日、ハイヤーに乗り、埼玉県にある夏帆が育った孤児院をふたりは訪れた。


ハイヤーを降りて、建物の前に立つと夏帆は懐かしい空気に包まれた。


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