君のための嘘
ゆっくりと、少しすっぱい果実を咀嚼する。


「ありがとう 少し胃がすっきりしたみたい」


テーブルで半分を食べ終わった夏帆は言った。


胃が落ち着いて良かった。


忙しかったから疲れているのかも……。


お皿を洗おうと、キッチンに入った途端に夏帆は吐き気をもよおした。


「うっ……」


急いで口元に手を当てて、洗面所に向かう。


その様子を見ていたラルフも後を追う。


「ううっ……う……」


どうしても止められない吐き気。


まさか……。


「夏帆ちゃん、どう?吐き気は治まった?」


ラルフが濡らしたタオルを持って来てくれた。



< 486 / 521 >

この作品をシェア

pagetop