君のための嘘
タオルを手にして、ラルフに抱えられるようにしてリビングのソファに座らされた夏帆の頭はめまぐるしく動いていた。


そう言えば……生理がない。


これは妊娠?


「ラルフ……」


戸惑いがちに、隣で心配そうに「ドクターを呼ぼうか」と言っているラルフを見た。


「まだ気持ち悪い?」


「私……妊娠したかも」


ラルフの切れ長の目が大きくなる。


驚いているようだ。


「病院に確かめに行こう」


「でも、ドラッグストアーで妊娠検査薬が……」


まだ病院に行くのは早い気がする。


「確かなことが知りたいんだ」


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