君のための嘘
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「……おめでとうございます 妊娠7週といったところです」


産婦人科の女医はにこやかに二人に言った。


じわじわと沸き上がってくる喜び。


二人の宝物が、私のここに……。


夏帆はまだ平らな腹部にそっと手を置いた。


「僕たちの赤ん坊……」


ラルフは男泣きしそうなほど、感動していた。


もうひとり、守らなくてはいけない者が出来た。


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