君のための嘘
「先生、明日飛行機に乗る予定なのですが、問題はないでしょうか?」


ラルフは念の為に聞いた。


「……良いとは言えません 奥様の悪阻は早い方なので、長時間のフライトは辛いものになるでしょうし、胎児に何らかの影響が出てくるかもしれません」


ラルフの質問に、女医は良い顔はしなかった。


「そんな……」


夏帆は不安げな瞳を、隣に座っているラルフに向けた。


ラルフは夏帆の手の甲の上に手のひらを乗せて軽く握った。


******


産婦人科の外に出ると、辺りはすでに暗くなっていた。


近所の産婦人科なので、二人は手を繋いでゆっくり歩いていた。


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